吉祥寺オフィシャルサイト

吉祥寺.me

井の頭池カイツブリの営巣トレンドは浅場と水草の上に!

吉祥寺の自然 カイツブリ

カイツブリってどんな鳥?

井の頭池に浮かぶ水鳥を眺めていると、カモよりもひと回り小さい、赤い顔の鳥を見かけます。
彼らが、このコラムでもお馴染みの水鳥、カイツブリ。
潜って餌を探すのが得意で、素早く体ごと沈めて、その後何十秒も潜り続けることもあります。見失ったと思ったら数メートル先からピョコッと出てくるので探してみてください。

巣を作る場所に変化が?安定した岸辺の茂みや水草の上へ。

井の頭池のカイツブリは、これまで水に浸かった木の枝先に巣を造って繁殖していましたが、2018年以降、初めて水辺の茂みや水草の上に浮巣を造るようになりました。
彼らはなぜ近年になって初めての場所に巣を作るようになったのでしょうか?

もともとカイツブリが巣をつくる場所というのは、池の浅い場所に生える植物(抽水植物)の茂みや、水中から水面に伸びた草(沈水植物)の上といった「水生植物を利用したもの」が一般的です。
しかし、定期的にかいぼりを行うようになる2014年以前の井の頭池には、上記のようなタイプの水生植物が茂っていませんでした。

枝先に営巣するカイツブリ

これまで井の頭池のカイツブリはどこで営巣していたのかというと、水中に倒れ込んでいる樹木の枝先でした。
この枝先に造るタイプの巣は強風や大雨に弱く、もろくて決して安全とは言えない環境。
そこで井の頭公園では、かいぼりの際に池底の泥を使って、抽水植物が育ちやすい浅場をつくりました。すると岸辺にヒメガマなどが生え、その結果、カイツブリがその茂みで巣をつくるようになったというわけです。
さらに翌年には、池の水の透明度が上がり沈水植物のツツイトモも育ったことで、その上に営巣するカイツブリも登場。その後も、こうした安全な場所に巣を造るつがいが増えています。

2021年シーズンも、前年に続き過去最高数の7つがいが営巣。

井の頭公園の調査によると、2021年は7つがいが井の頭池に営巣し、43羽ものヒナが孵化、このうち32羽のヒナが独り立ちしました!
(*調査では、孵化から1ヶ月のヒナを独り立ちしたものとしてカウント)

ヒナの数は、この2年やや少なかったものの、多い状態が続いています。

カイツブリ
ツツイトモの浮島で羽ばたくヒナ

カイツブリは、小魚やエビ類、ヤゴなど(時にはトンボの成虫)を食べますが、かいぼりでオオクチバスやブルーギルなどが減ると、親鳥が小さいヒナに与えられる餌の種類も増えるので、子育てしやすくなると考えられています。

繁殖シーズンは早いと2月ごろから始まるそうです。今年もたくさんのヒナが見られることを楽しみにしながら、井の頭池の生態系を見守っていきたいと思います!

おすすめ記事

you're currently offline