ソフトボール優勝の藤村女子チーム。じつはダンス部?
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藤村女子ソフトボール部の強さ「3つのヒミツ」とは・・・?
8月12日に「東京私学女子ソフトボール選手権特別大会」で、見事優勝を果たした藤村女子高等学校ソフトボール部。(優勝コラムはこちら)
3月から練習試合が一切できず、グラウンドで練習できたのは、試合前の2日間たった1時間半ずつという状況の中、なぜ優勝できたのか?
その強さのヒミツをご紹介します。
ヒミツ1:ソフトボールに全てをかける情熱。
全国の強豪校の多くが、専用グランドや屋根付きの練習場で練習していますが、藤村女子高等学校には専用のグランドがありません。
市営グランドの抽選に申し込み、週3回程度、マイクロバスに乗って練習場に行き、2時間半だけ練習するという、限られた練習環境の下であるにもかかわらず、激戦区東京都で4年連続インターハイ出場という驚異的な実績を挙げています。
その名門ソフトボール部に入るため、岩手県・静岡県・栃木県・茨城県からも生徒が集まっています。
命名!「わくわく大作戦!」
6月にインターハイの開催が中止となることを知った、ソフトボール部の西川監督。
ソフトに命を懸けている生徒たちに「インターハイないよ」と、ただ伝えることなんてできない。中止の前に「次の目標があるよ」と、皆で何かを成し遂げる最後のチャンスを作ることにしたそうです。
西川監督が、生徒たちの気持ちを痛いほどわかるのは、自身もソフトボールに命を懸け、日本一の実業団チームで上野由岐子選手らと国際大会で活躍してきたから。2019年には、オリンピック選手を育成する資格まで取得した、筋金入りの名監督です。
西川監督は、生徒たちにソフトボールとは別の「2足のわらじ」を履かせたいと考え、以前から専門競技以外のことを調べていたそうです。
これまで全国5位だったチームが、さらに上を目指すためには「人間力の向上が必要」特に「自分を出す」という表現力を育てたいと考え、真っ先にプロジェクト名「わくわく大作戦!」を決めたそう。
そして選んだのは、コロナ禍の室内でも、体一つあればできる「ヒップホップダンス」でした。
ヒミツ2:ヒップホップで伸ばす、エンターテイナー性
「チャラい」と思われがちなダンスですが、やるからには余興ではない、本気のダンスと決め、YoutubeやInstagramで活躍中の「ENA先生」に、白羽の矢を立てました。
高校生を教えたことのなかったENA先生に、いきなり「わくわく大作戦に協力してほしい」と依頼した西川監督。人柄を見抜いて直談判したのです。
都内でヒップホップのインストラクターをしているENA先生は、かわいらしい色白で細身の外見ですが、音楽に合わせて踊り出すと、はずんだ空気で周りをすっかりで包んでしまう、軽やかな明るさのある先生です。
直接会ったことのないENA先生とのダンスレッスンは、zoomで行うため、生徒たちのチャレンジは、まずzoomを使いこなすことから始まりました。
同時に、1人30秒の自己紹介動画を送り、ENA先生に生徒一人一人の性格も把握してもらいました。
はじめはロボットのように、動きがぎこちなかった生徒たちですが、ダンス部かと見紛うほどの本気モードでダンスレッスンに打ち込みはじめると、フリを覚えるのも早くなり、たった2ヶ月で明るいエネルギーを発するエンターテイナーに大変身しました。
現在は限られた部活動の時間の半分、週1.5時間をダンスレッスンに、週1.5時間をソフトボール練習に使っているソフトボール部。
9月のオンライン文化祭での発表まで、ダンスレッスンは続きます。
ヒミツ3:宇宙一キビシイ顧問。西川監督。
全国から藤村女子でソフトボールをするために集まっている生徒たちを預かる、西川監督の決意には圧倒されます。
「勝つのは生徒の実力。負けたら自分のせい。」
ダンスレッスンの間でも、気を抜いた途端に「おまえら〜っ!」と怒号が飛びます。
絶対に生徒たちを優勝に導く。そのためなら、嫌われてもいいという、大きな大きな愛がここにあります。
今回ENA先生が担当した、楽しく明るいレッスンは、西川監督が決してすることのできない、でも、本当はしてあげたいことなのです。
ソフトボール部部長の山坂香織さんは「ダンスレッスンをするようになって、チームが明るくなったし、動きを合わせるために全体を常に意識することが、チーム力を上げることにつながった、ソフトボールでは伸ばせなかった能力をダンスで培うことができた。」と話してくれました。
宇宙一キビシイ鬼監督の本意は、生徒たちにしっかり伝わっています。これからも藤村女子ソフトボールの躍進は続きます!