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水質改善と外来種に効果あり。「かいぼり」はスゴかった!

吉祥寺の自然 生態工房

井の頭池で「アメリカザリガニ捕獲活動」実施中!だけど‥

井の頭池では、2013年度、2015年度、2017年度の3回のかいぼり後、水の透明度が向上しました。
水草に被害を及ぼす外来魚をかいぼり時に取り除いた効果もあって、沈水植物(茎葉が水中にある水草)も生育するようになっています。
環境省と東京都のレッドリストで絶滅危惧種に選定され、絶滅したと考えられていた「イノカシラフラスコモ」や「ツツイトモ」が井の頭池で確認され、美しい池のまわりを散歩できるのが楽しみになっている方も多いと思います。

捕獲した外来種をたらいへ。

水生植物に被害を及ぼす外来種「アメリカザリガニ」。

「アメリカザリガニ」は、水辺に生息するさまざまな動植物を食べますが、中でも水草(とくに沈水植物や、葉が水面に浮く浮葉植物)に大きな被害を与えることが知られています。
水草を直接食べるほかに、水草の茂みにいる水生生物を捕らえるために水草を切断してしまいます。
その結果、アメリカザリガニの生息密度が高い池や湿地では水草が消失し、水草の茂みで生活していた水生昆虫やエビなどのすみかがなくなります。
水草がなくなることで水底の泥が巻き上がり、水も濁ってしまうのです。

外来種を数え、記録します。

地道な捕獲を続けているのに、ザリガニが増えている!

井の頭池では「アメリカザリガニ」による被害を防止するために、ワナによる捕獲活動を行っています。
捕獲活動は2014年に開始され、ワナも順次増設しており、現在なんと170基。
井の頭池では、アメリカザリガニが物陰に隠れる習性を利用して捕獲する「カゴワナ」方式が主流です。
2019年には、容器に格納された自動給餌器から誘引餌が出てくるしくみの「連続捕獲装置」も導入されました。

せっかく減っていた数が。

例年、水温が上昇してアメリカザリガニが活発に活動する4月から11月にワナを設置し、ボランティア「井の頭かいぼり隊」と東京都の協働で毎週ワナを引き揚げています。

外来種対策では、駆除をする一方で、外来種自身が繁殖してまた増える点が難しいところです。井の頭池では継続的な捕獲活動を続けていますが、2020年は捕獲数に増加の兆候が見られました。

水のある状態より、水のない状態の方が効果的。

池の水質や生態系を改善する取組には、さまざまな方法があります。
かいぼりを行う以前には、外来魚対策として、電気ショックを与えて気絶させる方法や、漁網で捕る方法も行いましたが取り尽くすことは困難でした。
噴水のような曝気装置で、水質悪化の原因となる植物プランクトンの増殖を抑えようとしても、池の底の土を巻き上げるばかり。
実際に成果が確認された対策は、最後にたどり着いた「かいぼり」だったのです。

生態系を保全する「アメリカザリガニ」の駆除活動は、「井の頭池かいぼり隊」のボランティアを中心に行われてきました。
しかし、緊急事態宣言が発出されているため、かいぼりボランティア活動は休止中。ボランティアコーディネートを行うNPOと東京都のみの少人数による活動を迫られています。

みんなに愛されている井の頭池の生態系を、力を合わせて保全していきたいですね。

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