「黒のうちとそとに」「心のむこう」吉祥寺美術館で開催しました!
カルチャー
目次
今回は、浜口陽三記念室の「黒のうちとそとに」と同時開催されている、萩原英雄記念室の「心のむこう」をご紹介しながら、鑑賞する際のポイントをお伝えします。
独自の抽象表現。
萩原英雄は当初、写生を主として絵画制作に取り組んでいました。しかし結核を患い、療養所での生活を余儀なくされます。写生に行くことができない療養中に、何か対象になるものを見ないで描く必要に迫られたことが、抽象表現が生まれるきっかけとなったそうです。
様々な表情を見せる画面。
若い頃に、浮世絵の工房で仕事をしていた萩原は、裏彩色など浮世絵の手法を彼の作品に取り入れ、また、自ら道具をつくるなど創意工夫しながら、独自の表現を生み出しました。
染料を用いたり、雲母粉を混ぜたりしながら、複雑な色彩をつくりだし、木版画という表現により深みのある奥ゆきを作り出したところが、萩原の作品の特徴だそうです。

浜口作品と萩原作品の対比も面白い。
せっかくなので、浜口陽三と萩原英雄、二人の作品の違いも鑑賞してみてください。
吉祥寺美術館だからこそできる楽しみ方です。
まず、浜口は銅版、萩原は木版。
浜口の作品は黒が印象的ですが、萩原の作品は、もともと油彩画家であったこともあり、色彩豊かです。
「黒のうちとそとに」「心のむこう」というそれぞれのテーマは、企画展「谷 充央 風景の裏/表」の主題となっている「表と裏」にもつながっています。
ちょっとした鑑賞のポイントを知るだけで、美術館での時間が何倍も楽しくなります。
皆さんも、浜口陽三と萩原英雄の作品に触れて、果てしない奥深さに身を置いてみてください。
「黒のうちとそとに」「心のむこう」
終了しました。会場:武蔵野市立吉祥寺美術館
日時:2021年3月4日(木)~2021年5月30日(日)
開館時間:10:00~19:30
※休館日3月31日(水)~4月9日(金)、4月28日(水)、5月26日(水)
入館料:一般100円(小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)
詳しくは吉祥寺美術館公式サイトをCheck!