吉祥寺・井の頭公園の「かいぼり」の役割。外来種駆除だけじゃない!
吉祥寺の自然目次
池底の泥で岸辺に浅場を作り、生態系を守る。
かいぼりの主な目的は外来種の一斉駆除ですが、水を抜くタイミングで池に入ることができるので、池底の泥で池の縁の地形を調整することもできる貴重な機会です。
井の頭池でこれまでに合計3回行われたかいぼりでは、かいぼり隊が池に入り、浅場を作る作業を行ったそうです。
浅場がどうして大切なの?
浅場は、水中と陸の両方で生活している生き物のために必要な環境です。
池岸が垂直になっている断崖だと、水鳥をはじめ、カメやスッポン、カエルなどが行き来することができません。
そこで、かいぼりで水を抜いた際に岸辺を木で仕切り、土を盛り上げ、浅場を作ります。
このとき、浅場の水深に変化が生まれると、湿性植物もさまざまな種類が生育しやすいため、デコボコも意図的に作ります。
生物多様性の維持のためにも、水辺の浅瀬や湿地が重要なポイントなのです。
緑豊かな湿地帯が実現。
井の頭池の浅場には、さまざまな植物が育っており「サジオモダカ」「ジョウロウスゲ」「カンエンガヤツリ」「カワヂシャ」などが群生しています。
かいぼり後の池は、水鳥のベビーラッシュ。
一般的に、かいぼりをした後はよく水鳥が増加します。
井の頭池でかいぼりを行ったのは、2013年度、2015年度、2017年度。
3回のかいぼりを通して、アオサギやバンなどの水鳥が繁殖をするようになりました。カワウは今年3つがいが営巣し、カイツブリは過去最多の10つがいが観測されています。
課題はアメリカザリガニ。
かいぼりでは捕りきれない外来種が、アメリカザリガニです。
なんでも食べて、繁殖力が強く、水中の水草をハサミで切ってしまうこともあり、身近な存在だけれど、駆除の対象です。
カゴ罠を使って、かいぼり隊が現在も毎週2回のペースで防除を行っていますが、1回に700~800匹ほど獲れるというのだからその繁殖力がうかがえます。がんばれ、かいぼり隊!