吉祥寺・井の頭池で「アメリカザリガニ」防除活動シーズン始まる!
吉祥寺の自然目次
4月〜10月まで、かいぼり隊がワナを仕掛けて捕獲します。
井の頭池で、カゴワナを使ったアメリカザリガニの防除活動が4月から始まっています。
新緑が美しく、散歩に訪れる人でにぎやかな初夏の井の頭公園。
これからは「かいぼり隊」が浮き輪ボートで活動する様子も頻繁に目にすることができます。
冬の間はアメリカザリガニの動きが鈍って罠にかかりにくくなるため防除活動をお休みし、その間にカゴワナの補修や製作を行うそうです。4月にしまってあったワナを池へ運び、組み立てて池に設置し、その後10月まで毎週回収して、罠にかかったザリガニを捕獲します。
2023年6月1日からは、アメリカザリガニを野外に放すことが禁止されました。
コラムでは、法規制のポイントもご紹介します。
7ヶ月間、毎週ワナを回収する地道な活動。
2014年から始まったこのカゴワナによるアメリカザリガニ防除活動。今期設置する罠の数は、200個以上。仕掛けた罠はなんと毎週すべて引き揚げ、かかったアメリカザリガニを捕獲していきます。
池を綺麗に保つため、かいぼり隊は地道な活動を行っています。
2023年のアメリカザリガニ捕獲数は23,520匹!
2023年のアメリカザリガニ捕獲数は23,520匹でした。
かいぼりを重ねるごとに、カゴワナ 1 個あたりにかかる数が減り、低密度になっていた井の頭池のアメリカザリガニですが、2022年に状況が急変。過去最多の捕獲数(23,794匹)となりました。今年もいまだ高い生息密度となっています。
複数の増加要因が考えられますが、そのひとつとして池全体に急激に拡がった外来水草コカナダモが、アメリカザリガニの食べ物やすみかとして利用されていることが挙げられるそうです。
アメリカザリガニ捕獲ワナの増設と、捕獲効率のよいワナへの転換をすすめていくことが大切です。
今年も、かいぼり隊が改良を加えたコンテナ型捕獲装置が活躍中。
以前はアメリカザリガニ防除では、カゴワナが一般的でした。井の頭池でも主流はカゴ型でしたが、近年開発されたコンテナ型を導入したところ好成績だったため、かいぼり隊がさらに改良したものに毎年置き換えていっているところです。
新型ワナは既製品ではないため、材料を加工して組み立てていましす。部品が多く工程も複雑なワナなので、冬の間に増産しているそうです。
アメリカザリガニを野外に放すことは禁止です。
2023年6月1日から、アメリカザリガニが「条件付特定外来生物」に指定され、野外に放すことは法律で禁止されました。同様に、アカミミガメも規制対象になっています。
法規制のポイントは以下の3つです。
《ポイント1》
規制開始後も、一般家庭でペットとして飼育することはできます。
寿命を迎えるまで、おうちで大切に飼育してください。
《ポイント2》
野外に放したり、逃がしたりすることは法律で禁止されます。
違反すると罰則・罰金の対象となります。
《ポイント3》
もし、飼い続けることができなくなった場合は、友人や知人に譲ったり、新しい飼い主を探す活動をしている団体に譲渡してください。ただし、無償の場合でも、生きた個体を広く配ることは禁止されます。
法規制について詳しくは環境省サイトをCheck!
なぜアメリカザリガニを防除するの?
それは、在来種の生物を守り、豊かな生態系を育むため。
アメリカザリガニは井の頭池に生育する絶滅危惧種の「イノカシラフラスコモ」や「ツツイトモ」などの水草を切ったり食べたりします。また、水生昆虫などの水生生物を捕食し、生態系被害をもたらします。
アメリカザリガニは、ザリガニ釣りなどで親しまれてきた身近な生き物ですが、水中に葉や茎のある沈水植物や、水面に葉を浮かせる浮葉植物といった、やわらかい水草に特に被害をおよぼす外来種です。ザリガニの生息密度が高い池ではこれらの水草が全滅してしまうこともあるのだとか。
かいぼり後に数種類の沈水植物が生育するようになった井の頭池の水草や、そこにすむ水生生物を失うことのないよう、日々の防除活動が続けられています。