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いきものガイドツアー vol.2〜ヤクシカってどんなシカ?

吉祥寺の自然 いきものガイドツアー

当コーナーでは井の頭自然文化園 動物解説員の草野さんにじっくりお話をうかがい、いきもの達のディープな情報をお届けします。
オンラインでツアー気分を味わったあとは、文化園に足を運んでみてくださいね!!

小さくてちょっぴり短足?ヤクシカ。

編集部:
まずは、ヤクシカのエリアにやってきました。
あら~、ずいぶん可愛らしいサイズのシカですね! 

草野さん:
そうなんです。あそこに大きいツノのオスがいますが、あれでもう大人なんです。

編集部:
地面から背中までの高さが70~80㎝、想像よりだいぶ小さいです!奈良のシカなんて、囲まれると怖いくらいの大きさですが…

シカの大きさのひみつ。

草野さん:
そうですね。ヤクシカはニホンジカの「亜種」で、奈良の鹿も同じニホンジカの「ホンシュウジカ」という亜種です。
「亜種」というのは、たとえば同じ日本語の中にも大阪弁、とか津軽弁とかありますよね。
そんな感じで同じ種類だけど、地域によって少し違いがあるグループを亜種っていいます。

ニホンジカは、北海道のエゾシカ、本州のホンシュウジカ、四国・九州のキュウシュウジカ、そして離島に生息するヤクシカやツシマジカなどがいます。
「島」などの狭い地域にいるほど、また南にいくほど、小さくなるんですよ。大人のオス同士で比べると、エゾシカは体重100㎏くらい、ヤクシカは30㎏くらい、3倍も違います。

立派なツノのオス

編集部:
同じニホンジカなのに、住んでいる場所によってそんなに違うんですね!
寒いとエサも少ないだろうし、体が小さい方が有利な気がしますが…。

草野さん:
それはですね、シカは私たち人間と同じように、自分の体のなかで熱を発生させて体温を保っています。
体が大きいほど、熱を発生させられるんです。
いっぽうで、その熱は何もしていなくても体の表面から逃げていきます。

一般に、体が大きいほど体積あたりの表面積は小さくなるんです。
寒いところでは、熱を発生させるためにも、体の表面から熱を逃さないようにするためにも体が大きいほうがよいということです。
ですので、寒いところに住んでいるシカほど、体が大きくなったと考えられています。

編集部:
同じ種類のなかでもその土地の気候に合わせて体つきが変化しているなんて知らなかったです!
ヤクシカは暖かい屋久島ならではの大きさなんですね。

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基本情報
哺乳綱 偶蹄目シカ科 ニホンジカ(亜種ヤクシカ)
ニホンジカの中では最も小型の亜種。
鹿児島県屋久島と口永良部島にのみ生息している。
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(取材:2020年7月)

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