わたしの吉祥寺 vol.9〜建築家 小宮 歩さん
吉祥寺ガイド目次
「大改造!!劇的ビフォーアフター」番組史上、最小の狭小住宅を匠の技で大変身させた「TAU設計工房」が吉祥寺にあることをご存知でしたか?
今回は「TAU設計工房」の2代目社長、小宮 歩(こみや あゆむ)さんに、建築のプロから見た吉祥寺の魅力をご紹介いただきます。
生まれも育ちも、仕事も子育ても「吉祥寺」で。
小宮さんは吉祥寺生まれの吉祥寺育ち。小さい頃からタバコの匂い漂うお父様の設計事務所に通い、設計を身近に感じて育ちました。
中学・高校時代は成蹊学園、遊びのエリアも吉祥寺という、生粋の吉祥寺っ子です。
大学時代に、吉祥寺を一旦離れたものの、大学の卒論テーマは、なんと「吉祥寺のイメージ構造」。
人が考える「吉祥寺」についてのアンケート調査を行い、地図上にデータをプロット。
吉祥寺に住んでいる人は、駅より北のエリアを多く利用している一方、吉祥寺に住んでいない人は、駅より南の井の頭公園エリアを多く利用しているという、二極化構造があることが明らかになったそう。
暮らす人の目線で吉祥寺を感じる。
小宮さんは20年ほど前から、家族で吉祥寺に暮らすようになり、2015年には、市内にマイハウスを建て、現在は3人のお子さんを吉祥寺エリアで育て、子育てパパとしても吉祥寺のよさを実感しているそうです。
「ライフステージによって、行くところも変わりますが、子育てをしてみると、吉祥寺には水泳・お絵かき・公園・動物園まで、何でもあって便利ですね。」「暮らしてみると、スケール感がちょうどよく快適です。」
小宮さんとお話してみて、吉祥寺のことを、一住民として素直な視点で話してくださるのが新鮮でした。
一軒一軒、心のこもった家を作ろう。
2019年に設立40周年を迎えた「TAU設計工房」では、少人数で一軒一軒心のこもった家を作ることを大切にしています。
テレビ朝日「大改造!! 劇的ビフォーアフター」では、9坪の平屋建てに、大人四人が窮屈に暮らす、番組史上最小の狭小住宅「押入れで寝る家」を再生。
フジテレビの「新報道2001」 では、中央線の高架横でまったく日の入らなかった家屋を「減築リフォーム」することで、光の注ぎ、風通しのよい住空間をつくり話題に。
お客様への対応の基本は「たっぷり要望を聞くこと」。
輝かしい受賞歴があり、メディア掲載も頻繁な、小宮さんの元にやって来るのは、普通の家では満足できない人たち。
期待をふくらませ、要望てんこ盛りのお客さまの中には、要望を分厚いノートにまとめて持参する方も。
小宮さんは、どんなふうに暮らしたいか、お客さんの要望をたっぷり聞くことを大切にしているそう。
ぬり壁にしたり、自然素材にこだわり、素足で過ごせる気持ちのいい床にしたり、光や風を感じる空間をつくることで、伸び伸び開放的な住まいをつくっておられます。
たとえば、若い世代の新築住宅の場合、平日は忙しいので、家事効率化のため、機能的な動線がなければなりません。
一方、週末はその家族ならではの一家団欒ができることも求められます。
それぞれ好きなことをやりながら、空間は共有できる。家族のあり方を実現するのです。
武蔵野市に「子どもが帰りたがらない保育園」が完成!
2020年、武蔵野市に新しい小宮さんの作品が登場しました。
小宮さんが手がけた保育園には、「ふわふわネットトンネル」や「ロープジャングル」など保育室を囲むようにぐるっと巡られた吊り遊具があり、ぐるぐる回遊しながら子どもたちが伸び伸びできる「子どもが帰りたがらない保育園」です。
「自分に3〜5歳の子供がいるので何が面白いかわかる」という小宮さん。
「自分に強烈な個性はないし、シグネチャーとか型が決まってるわけじゃないんです。その人に似合う、着心地の良い洋服みたいな家を作れた時に喜びを感じます。」と全く威張らず、なんでもフワリと包み込んでしまう小宮さんの人柄は「吉祥寺」という環境に育まれたのだと感じました。
詳しくは TAU設計工房 公式サイトでCheck!