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第19回「吉祥寺国際アニメーション映画祭」グランプリ各賞が決定!

イベント

受賞者のみなさま。おめでとうございます!

2月25日(日)に武蔵野公会堂で行われた「第19回 吉祥寺国際アニメーション映画祭」の表彰式。
70以上の作品の中からノミネートされた14作品が上映され、厳正な審査の結果受賞作が発表されました。受賞者には賞状や副賞が手渡され、グランプリにはトロフィーと副賞として「賞金」10万円が授与されます。
本日は、力作の中から選ばれた受賞作品を審査員コメントとともにご紹介します。

グランプリ『月見ごこち』李 叔芹監督

【あらすじ】
私が生まれてから、月は地球を9,125周回っている。その間、私たちはみんな大人になってきたけど、月は永遠に年をとらないようだ。 祖母との交流と、その死を見つめる孫娘の物語。

審査員コメント:
完成度が高い。おばあさんの死を見送るという個人の体験をチョークで描いたような絵のカットで、実験的な試みを通して表現している。

優秀賞『長期照願』謝 宗旻監督

【あらすじ】
這是一部把照顧家人經歷 一些心得 做成動畫
これは家族といくつかの経験を大切にするアニメーションです

審査員コメント:
なくなっていくおじいさんの晩年の介護について描いている。自分の人生の何ページかを棒にふることになる現実に向き合った時、どうなるのか、完成度が高く、心に迫ってくる、考えされられる作品。

ギャグアニメ賞『田中くんと二階堂くん』田邊 馨監督

【あらすじ】
いつも仲良し田中くんと二階堂くん。学校帰りに見つけた、いつも気になるラーメン屋さん。お腹をすかして入ってみるとラーメン屋さんになんと「アレ」が!

審査員コメント:
アニシュールなナンセンスギャグを真っ向からやるのは挑戦的なこと。受賞作のない年もあったが、今年は表彰できる作品が登場した。ギャグアニメ作者は、めちゃめちゃ暗いか、めちゃめちゃ明るいのどちらかだが、壇上の作者が明るくてよかった。

ストップモーション・アニメーション賞『Midnight Special』葭原 武蔵監督

【あらすじ】
都会の中に佇む寂れた映画館。深夜の特別上映を観るために集まった人達は、ポップコーンやソーダを手に劇場へと入って行く。映写機が光り、フィルムが回り出すと、映画館は汽車へと変身して観客を映画の世界へと誘う。夜汽車の車窓を流れる街の灯りの中では、見知らぬ人の人生の一幕が流れていて、その一瞬の光景に何故か懐かしさを感じてしまう。映画と列車を通して「旅」への愛情を綴ったアニメーション。

審査員コメント:
画面の雰囲気などの心地よさ。

審査員特別賞『ピロピロプゥ』松本 伊代監督

【あらすじ】
素材も次元も秩序も飛び越えた、ちぴとぷぅのハチャメチャコメディ。この作品を見る者は、一切身体の力を抜くべし。

審査員コメント:
ナンセンスな会話があって、笑いも価値だと感じさせる作品。
作品を観て、本人が楽しんで作ってるんだろうな〜と感じた。

審査員特別賞『ゾウのかたち』桑 宇軒監督

【あらすじ】
私の家には象が住んでいたが、大人たちは皆、象を避けていた。 象は形を変え続け、私と共に成長していった。

審査員コメント:
性の象徴をゾウにするというところが面白い。直接的に描かずに、ゾウに置き換えて表現し、いろいろな手法を盛り込んだ作品。

STUDIO4℃賞『ぼくがこわい黒いもの』新海 大吾監督

【あらすじ】
ぼくには怖いものがあります。一つは夜の海。二つめはお母さんのお腹の中の、もうすぐ生まれてくる妹。だって、中がどうなっているのかわかんないんだもん…

審査員コメント:
絵と音の表現が特徴的な作品。

コアミックス賞『520』池辺 凜監督

【あらすじ】
「想いを寄せる男友達にバレンタインのチョコレートを渡せない柚希。もうすぐお兄ちゃんになるから、こども向けの飴を我慢する悠斗。年頃の娘と上手く話せず、悩む伸行。素直になれない彼らの小さなプライドは、くだらない意地によって絡み合っていく。

審査員コメント:
描き方の演出がよかった。父親が思春期の娘にどう接したらいいのかわからない気持ちが伝わってくる作品。

プロダクション・アイジー賞
『来世ユニコーンの首筋後ろのホクロになりたい』劉 禹辰監督

【あらすじ】
THE PARADISEの解散ライブ前日、お互いに面識のない3人のファンがエレベーターに閉じ込められる。救援を待ちながら彼女たちの推しであるユニコーンのエピソードを語り合っていたが、なぜか空気はピリピリ。その時、スマホの通知音が鳴る。

審査員コメント:
ナレーションのテンポのよさがよかった。

ジブリ美術館賞『マジムンノクニ』根間 笑花監督

【あらすじ】
今作品は沖縄に昔から存在する魔のもの『マジムン』と人間との戦いを描いたストップモーションアニメーションです。 宮古島に実際にあるガングルユマタ交差点で目撃されるマジムン、「カタアシピンザ」をモデルにしました。

審査員コメント:
楽しんで制作している様子が伝わってきました。

審査員・ゲスト監督からの講評をご紹介!

審査員とゲスト監督のスペシャルセッションでは、スペシャルゲストとして、『この世界の片隅に』『マイマイ新子と千年の魔法』『アリーテ姫』を手がけた片渕須直監督をお迎えし、応募作品へのプロフェッショナルならではのコメントや、これからのクリエイターへむけた展望など熱いトークが繰り広げられました。
審査員の講評コメントをご紹介します!

片渕須直 監督
どの作品も非常に高いレベルで、素晴らしい賞を受けるに値する。心にあるものを表現できるようになった時、次のステップは「心はどうあるべきか」を考えることかもしれない。抜きん出て、その先を誰が見つけるか期待したい。

白石 慶子さん
アニメの作り手として、自分になかった手法、アニメーションだから描ける。見えないものがアニメーションによって表現できているものを選んでいる。

中村監督
今回の受賞作は素材感のあるものが多かった。地道にやっている人たちの中から、新しい技術を開拓しているのを感じた。これから面白い人が出てくるのが楽しみ。

青木監督
アニメーションは安く制作できる上、届く年齢層が広い。アニメがあまりにも民主化されており、これをアニメでやる意味は?みたいなクラシカルな質問は必要なくなっている。

森本監督
作り方をとやかく言う筋合いはない。結果で判断。小学生がプロ顔負けの作品をつくれる時代。AIを使ったから卑怯ではないと思う。いろいろな表現が広がり、お互いにいいとこ取りしていけばいいかなと思っている。美術や図工の授業で、アニメ制作を教えてほしい。

津堅 信之さん
吉祥寺国際アニメーション映画祭らしさは何だろうと考えてみた。ギャグアニメ、ストップモーションも特徴となっている。「アニメーションならでは」というのが「技術」なのか「題材」なのか、「何を描くか」ではなく「何をどう描くか」。
ぜんぜん違う枠組みを創出してくれる人が出てくるのが楽しみ。

竹熊健太郎 審査員長の講評をご紹介!

「吉祥寺アニメーション映画祭」の発起人である竹熊健太郎 審査員長からは以下のような講評がありました。

中国や韓国からの出品も増え「国際アニメーション」という名称にしてよかったと思っている。突拍子もないアイデアがこの映画祭から出てくることを期待している。
2003年から吉祥寺国際アニメーション映画祭のプレをスタート。その頃、秘密結社「鷹の爪団」のような簡易的にアニメを制作できるようになった一方、新海誠監督の作品のような完成度の高いアニメも作られてきた。
二極化したアニメ制作の世界で、何か突拍子もないアイデアがこの映画祭から出てくることを期待している。

詳しくは「吉祥寺国際アニメーション映画祭」公式サイトでCheck!

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