いきものガイドツアーvol.7〜ニホンイノシシVSサシバエの仁義なき戦い
吉祥寺の自然当コーナーでは井の頭自然文化園 動物解説員の草野さんにじっくりお話をうかがい、いきもの達のディープな情報をお届けします。
オンラインでツアー気分を味わったあとは、文化園に足を運んでみてくださいね!!(取材:2020年10月初旬)
ニホンイノシシ、必死の泥遊び。
編集部:
今日は雨ですが、気にせずフィールドを歩き回っていますね。
草野さん:
ええ。お天気が良い日はここに寝転んで泥んこになっています。
編集部:
泥遊びが好きなんでしょうか?
草野さん:
『サシバエ』から身を守るために体に泥をなすりつけるんです。
サシバエというのは、吸血虫ですが、これが好んでイノシシなどの草食動物をねらうのです。
刺されると痛みがありますし、血を吸われすぎて貧血になることもあるんですよ。
ひどい時は遠くからでも真っ黒に見えるくらいサシバエがたかります。
動物園は自然界と違って動物たちの密度が高く、また移動もしないので、サシバエが集まりやすくなってしまいます。
編集部:
貧血になってしまうほど!
草野さん:
イノシシの短い尾では、効率よく虫を追い払うことができないですしね。それに、イノシシの足先をよ~く見てみてください。
爪が蹄になっていて、体を掻くのに向いていないのです。
痒いときは、足で掻くのではなく、体をどこかにこすりつけて掻いています。
編集部:
大変ですね。
草野さん:
そこでニホンイノシシは、ぬかるみに寝転がって全身に泥を塗ることでサシバエに刺されないようにしているんです。
編集部:
そうだったんですね。
ああ、今度はイノシシが壁に体を擦り付けています。まだまだサシバエとの戦いは続きますね。
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基本情報
偶蹄目 イノシシ科
本州、四国、九州に分布。
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